海南島
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海南島の自然 1

絶滅危惧種 ハイナン・ターミンジカ

“坡鹿”と書いて“ターミンジカ” 学名;Cervus eldi、ニホンジカ(梅花鹿)によく似たシカの仲間で、インドからカンボジア、ベトナム、中国南東部にかけて生息します。“海南坡鹿;ハイナン・ターミンジカ”はその亜種で海南島固有種。ほっそりとしたイメージの中型の鹿で、体長160cmほど、肩高約110cm、体重60から100kg、基本色は黄みがかった茶色から褐色で、背中に濃い茶の筋とうっすらとした白い斑紋があり、雄は湾曲した角を持ちます。海抜200m以下の草地、湿地や水辺を好み、雌と子供は群れて、雄は単独で生活。繁殖期は4、5月で、10月から11月に1頭の仔を生みます。約2年で成体になり、寿命は10年から18年ほど。

大田保護区のハイナン・ターミンジカ 大田保護区のハイナン・ターミンジカ

かつては中南部の山岳地域以外の多くの地域に生息していましたが20世紀半ばに激減しました。1950年代に東方、楽東など6県に500頭確認、1970年代には東方市大田の保護区にのみ生息、その数26頭にまで数を減らし、絶滅危惧種として中国国家一級(重点)保護動物に指定されました。
激減の原因は、解放後の海南島の急速な人口増加による生息地の減少なども挙げられますが、何といっても乱獲でした。ターミンジカは強壮剤として有名な角(鹿茸)をはじめ、腹仔(鹿胎)、骨(鹿骨)、生殖器(鹿鞭)、血(鹿血)、心臓(鹿心)など全身が薬として珍重され、「1頭3万元」といわれるほど漢方薬としての価値が高いのです。それを狙って1950年代末から組織的な密猟集団が島に流入し、それまでの共存的な狩猟と異なった方法で一気に狩尽くしてしまったのです。

邦渓坡鹿保護区 邦渓坡鹿保護区
邦渓坡鹿保護区

絶滅の危機にさらされているハイナン・ターミンジカですが、現在は東方市の「大田国家級自然保護区」、白沙黎族自治県の「邦渓坡鹿省級自然保護区」を中心に、約2000頭近くまで個体数を回復。屯昌県の「楓木鹿牧場」などでも飼育されています。
「大田国家級自然保護区」は東方市内から約20km、高速道路八所出口から約12km、国道225沿いの八所鎮大田郷に約2000ヘクタールの広さを持つ保護区。1976年に設立、1986年に国家保護区となり、「海南坡鹿及びその生態環境」が保護対象となっています。ターミンジカ以外にも、センザンコウやコジャコウネコ、サンバーなど希少動物を含む20種の動物、熱帯の平原植物を中心に267種の植物が生息しています。


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